消化管内寄生虫症
(しょうかかんないきせいちゅうしょう)

消化管内に寄生する寄生虫(回虫(かいちゅう)・条虫(じょうちゅう)・原虫(げんちゅう)(コクシジウム・ジアルジア)等)が感染する病気。

寄生虫により食欲不振・おう吐・下痢、嘔吐、血便等の消化器症状が現れる。特に子犬や弱った犬の場合、重度の脱水症状や栄養吸収ができなくなり体力の激しい消耗を起こすため、早期に治療・回復させないと最悪死に至る。

犬の消化管に寄生する寄生虫で成体(大人の寄生虫)が肉眼で見える大きさの線虫(回虫・鉤虫、鞭虫)、条虫(瓜実条虫)が主なものである。 肉眼で見えない(顕微鏡で確認できる)、原虫(コクシジウム・ジアルジア)も頻繁にみられる。

ここでは、回虫・瓜実条虫・コクシジウム・ジアルジアについて解説する。

1)回虫(症)
犬回虫・犬小回虫の2種類ある。 どちらも犬に最も多くみられる消化管内寄生虫である。「便の中に白っぽいひも状の虫が出てきた」という場合は、回虫・犬回虫の成体であることが多い。回虫の卵に汚染された土壌や、便に含まれる卵や幼虫を舐める・食べる、感染したげっ歯類、鳥、ある種の昆虫を食べる等のいわゆる経口感染で感染が成立する。犬回虫では母犬から子犬へ胎盤感染をし、乳汁から感染することもある。犬回虫は卵が腸内で子虫になった後に体内移行しながらさらに成長し、最終的に腸内に寄生する。犬小回虫は腸内で成長し、そのまま寄生する。
回虫は子犬での感染が多く、生後半年齢以降の感染は比較的少ない。小回虫は胎盤感染を起こさないので幼犬での健康被害は少ないが、比較的若犬および成犬での感染が多い。

2)瓜実条虫(症)
瓜のような形をした体節(寄生虫の体のこと)が連なる平たい紐状の寄生虫で、 サナダ虫とも呼ばれることもある。それぞれの体節には虫卵が入っており、通常1〜2個の体節にちぎれた状態で感染した犬の便に排泄される。この便をイヌノミやネコノミなどのノミ類の幼虫がそれを食べると、瓜実条虫の卵は、ノミの体内で感染力のある幼虫へと成長する。幼虫が潜んでいるノミの成虫を、グルーミングなどで犬が口の中から体内に取り込むことにより感染する。通常は成虫が寄生しても無症状だが、濃厚感染すると下痢症状を呈することもある。人ではノミを潰した手をなめるなどして感染し、成虫が寄生したという症例が複数報告されている。予防としては、犬・猫へのノミ駆除が有効な対策の一つとなる。小腸に寄生する虫卵が入った1cm程度の体節が感染動物の便とともに排泄され、こうしたノミを犬が体を痒がっている時などに誤って噛みつぶしたりすることによって経口的に感染する。

3)コクシジウム(症)
コクシジウムは、顕微鏡でないと見えない原虫という寄生虫に分類される。コクシジウムに感染した犬の糞に入っているオーシスト(卵型のコクシジウム:この形態時に感染力を持つ)を経口的に摂取することで感染する。幼犬の大半は、母親の糞便を介して感染する。

4)ジアルジア(症)(ランブル鞭毛虫症)
原虫の一種であるランブル鞭毛虫が腸内で感染することで発症する。ジアルジアはシスト(膜に包まれている形)と呼ばれる形態と、トロフォゾイト(栄養体)と呼ばれる形態がある。感染するのはシストの形態時で、シストが含まれた便、水、フード等から経口感染する。人にも感染する、人獣共通感染症の一つでもある。
狭い環境で多数飼育しているような場所での集団感染が多くみられる。

消化管内寄生虫症の症状

1)回虫(症)
下痢、嘔吐、腹部膨満、腹痛、貧血が主な症状である。回虫が多数寄生していると腸閉塞や痙攣、麻痺などの神経症状が出ることもある。

2)瓜実条虫(症)
通常は無症状である。多数寄生した場合には下痢や食欲不振、体重減少などの症状が見られることがある。また、排泄直後の体節がしばらく活発に活動するために、お尻を地面にこすりつける行動をすることがある。また、体節は排泄直後は白色であるが排泄後時間が経過すると乾燥して褐色の米粒状になり、肛門周囲の被毛に付着することが多い。この体節が見つかり、はじめて感染していることがわかることも多い。

3)コクシジウム(症)
健康で体力がある犬が感染しても多くの場合発症しない。若齢であったり、何らかの原因で免疫力が低下している場合などに発症する、いわゆる日和見感染症である。 感染しても症状が出ない場合は、不顕性感染といわれる状態である。
主な症状は、下痢、血便、粘液便であるが、重症になると脱水、貧血、虚弱、栄養不良などがみられ、死に至ることもある。また、体力の低下により細菌やウィルスの二次感染を起こしやすい。
幼犬で多く発症する。体力がある成犬の場合は、無症状あるいは軽度の下痢程度の症状しか見られないことが多い。

4)ジアルジア(症)(ランブル鞭毛虫症)
成犬では無症状のことが多いが、仔犬、若い犬では悪臭を伴う水様性および粘液性の下痢、脂肪便、食欲不振、体重減少、発育不良などの症状が見られる。細菌などの二次感染や他の寄生虫との混合感染を起こすことも多い。

消化管内寄生虫症の治療法

1)回虫(症)
診断は顕微鏡による糞便検査で虫卵を確認して行うが、成虫が便の中から見つかって診断されることも多い。
治療は駆虫薬を投与することが基本である。3週間隔で2回駆虫することでほぼ確実に駆虫できる。下痢や嘔吐等によって体力低下や脱水症状が激しい場合は、点滴治療なども行う。必要によっては入院させることもある。

2)瓜実条虫(症)
駆虫薬を与えることで治療する。また、ノミの寄生がある場合には同時にノミも駆除する。 糞便検査で、虫卵を見つけることは非常に困難であるため、診断は便中の体節か肛門周囲の体節を確認することで行う。

3)コクシジウム(症)
駆虫薬で駆虫を行う。通常10日〜14日の投与であるが、症状によっては、3週間程度は駆虫薬の投与が必要になる。重症の場合には、点滴や入院治療が必要になることもある。

4)ジアルジア(症)(ランブル鞭毛虫症)
駆虫薬で治療をおこなう。便検査で虫体が見つからないことも多いため、複数回の検便検査が必要となることもある。ジアルジア抗原検査のキットで検査・診断も可能である。

消化管内寄生虫症の治療費について

早期発見で駆虫薬のみで治療が終了すれば、小型犬では、検査費用を含めても5,000〜10,000円程度の場合が多い。重症になり、治療が長期化したり、入院が必要になった場合は数倍以上の費用がかかると思って良い。

消化管内寄生虫症の予防法

1)回虫(症)
回虫卵に汚染された便や土壌をを舐めたり食べさせないこと。犬回虫・犬小回虫ともに感染犬が便をした直後には感染力はなく、5日~20日ほどで感染力が出てくるので、放置された便には特に注意が必要である。自宅では回虫卵が感染力を持つ前に糞便はすぐに処分する、
また、回虫は人間にも感染する、いわゆる人獣共通感染症(ズーノーシス)である。人は回虫にとって本来の宿主ではないため、幼虫移行症(幼虫のまま体内をあちこち移動することにより、組織や内臓にダメージを与える)を引き起こし、肝臓、リンパ節、肺、脳、眼球などあらゆる組織に入り込む。発熱、腹部痛、倦怠感、脳に移行した場合は痙攣やが突然死、眼球に移行した場合は失明することもある。特に3歳~5歳程度の子供が感染しやすいとされるので、犬と触れ合った後には手を洗うなど子供への衛生指導にも心がけたい。仔犬に人の口を舐めさせないといった注意も必要である。

2)瓜実条虫(症)
定期的にノミの駆虫薬や予防薬を投与して、感染源であるノミの予防をすることが基本である。

3)コクシジウム(症)
便と共に排泄されたばかりのオーシストは、感染力がない。そのため、犬が排便したら直ちに便を適切に処分することが重要である。
人には感染しない。

4)ジアルジア(症)(ランブル鞭毛虫症)
散歩中は、水溜りなどの水を飲んだり、他の犬の便に近づけないようにする。
犬の便を処理をした後にはきちんと手を洗い、人への感染防止にも注意すること。

【ペット保険募集代理店】
合同会社東京六大陸
神奈川県鎌倉市七里ガ浜1-9-18 R1

【代理店の立場】
当社は保険会社の代理店であり当サイト上で保険契約の締結の媒介を行うものです。保険契約締結の代理権および告知受領権は有しておりません。

ページトップへ