現地発「ドイツのペット事情レポート」
第四回 ドイツのペット保険会社の特長と日本との比較について。

ドイツのペット保険会社

それでは実際にドイツのペット保険の例をご紹介しましょう。ペット保険は一般の保険会社からもサービスが提供されていますが、今回はペット保険のみを扱う大手ペット保険会社3社を取り上げます。

ウルツェナー(Uelzener)社
https://www.uelzener.de/(ドイツ語のみ)

先に挙げた、ドイツのペット保険の先駆けであるウルツェナー(Uelzener)社は、なんといってもその長年の経験によるサービスに信頼感があります。元は家畜保険を扱っていたこともあり、この会社の主な保険商品は犬、猫の他、馬の保険も揃えているところが特徴です。その他、乗馬場やティアハイム、ペットホテルなど、動物を扱う業務についての動物保険商品も扱っているなど、動物保険のエキスパートとしての経験の蓄積があってこそのサービスが並びます。他社と比べると保険額は高めで、例えば1歳未満の犬の健康保険で月額105ユーロ(約14,000円程)、同じ動物のカテゴリであれば種類に関わらず保険額は一律で、年齢によって5歳以上は10%、10歳以上は20%割引、また契約期間が長い程割引率が高くなるなどのサービスがつきます。それでもウルツェナー社の保険が選ばれるのは、治療費全額保障のサービスに加え、手術前後のケアや通院費の保障、国外の旅行保険が半年間付くなど、その保険内容の充実度によるものでしょう。

猫の保険は、手術保険のみ、または手術保険も含めたフルカバーの健康保険の商品があります。犬の保険はそれらに加えて、先にお話しした賠償責任保険がラインナップに加わりますが、さらにユニークなのは飼い主の保護保険なるサービスがあることです。これは、例えば飼い主が不慮の事故などで入院したために飼い犬をペットホテルに預けなければならない場合の経費を補償したりするもので、20ユーロ(約2600円)/日まで補償してくれるのだとか。その性質上、犬を独りで留守番させないなどのルールがあるドイツならではのサービスでしょう。馬の保険は、こうした健康保険や賠償責任保険の他、例えば飼い馬が盗難にあった場合や火事や落雷で被害を受けた場合、また騎乗者を守る保険もあり、これもまた馬の飼育環境や状況に沿って想定されるケースにきめこまかに対応しています。

もう一つ、ドイツらしいユニークなこの会社の健康保険のサービスは、ペットのホメオパシー療法も保障されていることです。ホメオパシーはドイツ発祥の民間療法で、ドイツでは薬局や医院でも薬や治療が処方される一般的なものですが、言ってみれば日本における漢方療法の位置づけと似ているかもしれません。獣医によるホメオパシーの処置であれば、ウルツェナー社はその費用も保障してくれるのです。ペットにも自分と同じ治療法を受けさせたいという飼い主の気持ちを汲み取ったサービスといえるでしょう。

AGILA(アギラ)社
https://www.agila.de/(ドイツ語のみ)

AGILA(アギラ)社は、ドイツ及びオーストリアで契約顧客数20万件を超える最大手のペット保険会社で、猫と犬対象の商品のみ扱っていますが、その種類や年齢によって保険額を変えるサービスで、ペットとしては一番身近で数も多い猫と犬の飼い主のニーズにきめこまかに対応しています。

例えばミニダックスの健康保険の場合、2歳までは最低額が月額約24ユーロ(約3,200円)で5歳以上の成犬は44ユーロ(約6,000円)となりますが、ラブラドールレトリーバーの場合は2歳までは最低月額が38ユーロ(約5,000円)から、5歳以上の成犬では68ユーロ(約9,000円)以上となるなど、各犬種によってかなり違ってきます。また手術保険やフルカバーの健康保険、そして賠償責任保険と揃うのは他の会社と同じですが、加えてアギラ社では、飼い主自身に飼い犬が原因で損害が起きた場合の補償をする私事賠償保険も提供されているなど、一般的なペットの飼い主の事情やニーズを汲み取ったサービスを、価格的にも気軽に選べるところが魅力でしょう。

Petplan(ペットプラン)社
https://www.petplan.de/(ドイツ語のみ)

さて飼い猫や飼い犬の数が圧倒的に多いドイツですが、ウサギやハムスターなどもまた人気のあるペットです。どこの会社でもやはり猫、犬の保険は揃っていますが、その他の小動物の場合はその保険を探さなくてはなりません。Petplan(ペットプラン)社は猫や犬の他、ウサギの手術保険や健康保険も提供しています。健康保険の月額は3歳までが10ユーロ(約1,300円)、4歳以上は13ユーロ(約1,700円)と、猫や犬に比べて低価格ですが、実際にかかった治療費用のうち、40ユーロ(約5,200円)は飼い主の負担となり、保障範囲は限られます。とはいえ、この会社の保険額は他社と比較すると格安で、例えば犬の健康保険は月額が20〜40ユーロ以下(約2,700〜5,400円)です。ですのでペット保険を高いと感じつつも、一方でペットの健康や安全が気になる人にとって、とりあえず気軽に加入できる保険商品でしょう。

その他、鳥や爬虫類といったペットの保険は一般的ではなく、特定の保険会社、または企業の所有物として飼育される(例えば動物園など)際の動物保険のサービスとなるケースが多いようです。

※ 1ユーロ=約132円(2017年12月現在)

日本とドイツのペット保険の比較(一般例)

国名 日本国旗
日本
ドイツ国旗
ドイツ
ペット保険取扱い会社数 15 約80
ペット保険会社の種類 損害保険会社
少額短期保険会社
動物保険会社、各種保険会社
加入出来る主なペットの種類 主に犬、猫 その他にうさぎ、爬虫類、フェレット、鳥 主に犬、猫、馬 その他にうさぎ、鳥
主な加入経路 ペットショップ、保険会社との直接契約
保険代理店
インターネット
保険会社との直接契約
保険代理店
インターネット
主な商品の補償について フルカバー型
手術特化型
通院特化型
健康保険(フルカバー)型
手術特化型
損害賠償型
主な特約 賠償責任保険特約
ペットセレモニー(火葬)費用特約
ペット様車いす特約
主に、分化した内容の保険を一つ選択または複数組み合わせて加入する為、特約は一般的でない
人気の商品 フルカバー型 手術特化型
賠償責任保険
犬猫の飼育頭数 犬987.8万頭
猫984.7万頭
2016年度
犬 約690万頭
猫 約110万頭
2016年度
国内加入率 約5% 約5%
一般的な保険料 約30,000円/年間 約30,000 円/年間
保険金請求方法 窓口決済
書面での後請求
窓口決済
書面での後請求
国内シェアNO1の会社、シェア率 アニコム損保
国内シェア約60%
不明(ペット保険専門会社最大手、AGILA社の保有20万件)
ペット保険の義務化 なし 賠償責任保険のみ義務(各州の条例による)
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執筆者紹介

川元アキ
ドイツ在住十数年のドイツ語•英語の翻訳ライター。動物の保護施設「ティアハイム」を紹介する番組制作に関わるTVマンのドイツ人夫と暮らす。
若い頃は料理や読書が趣味、とインドア派だったのが、天気がよければサイクリングやハイキングへ、とアウトドア派になったのは、長年のドイツ生活ゆえ。ワインやチーズも好きだけど、やっぱり塩辛と吟醸酒が最高だね!というのが本音。ゆえにドイツの自宅で味噌や納豆も仕込む。持ち前の好奇心で、あらゆる文化や社会のトピックを探して発信中。

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