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川元アキさんコラム
ドイツのペット事情
- ペットショップで買えない犬や猫
ドイツのペット事情−その1
久しぶりに晴れ間の広がった週末、ケーキでも食べようと立ち寄ったカフェの店先で友人に会いました。天気がいいから近所の公園に散歩に行くんだ、という彼の肩にはオウムが一匹…。この友人夫婦、長年オウムを飼っていて、その日は4羽いるうちの末っ子、クララを連れてきたとか。念のために足をリードで繋がれたクララ、ときどき甘えるように自分の頭を彼に擦り付けている様子がなんともかわいい。まるで親子のようです。
ドイツのペットの名前は愛称のように短めの名前が多く、例えば人気のある犬の名前のトップ5は、ルナ、キーラ、ロッキー、スパイク、ラッキーだそう。その他エマやポール、ルーシーなど、クララのように人間の名前と同じものも並びます。ペットはまさに家族の一員なんですね。とはいえさすがにドイツでもオウムをペットとして飼う人はめずらしく、周りにいた男の子たちの目はクララに釘付けでした!
ドイツで人気の犬種・猫種
さてドイツで一番人気があるペットは猫。ドイツで飼われているペットの約3割が猫、そしてその後に犬(約2割)、ウサギやハムスターなどの小動物(約1割)、鳥(1割以下)と続きます。その中でも人気のある猫種はメインクーン、ブリティッシュショートヘア、ペルシャやノルウェージャンフォレストなど。犬種はフレンチブルドッグ、テリア、レトリーバーなどだそうです。ちなみに秋田犬などの日本犬もなかなか人気があるようで、ドイツ犬生態協会による人気犬種の投票ランキングでは、秋田犬は33位と、トップ50の中に入っています。オーストラリアシェパードやボーダーコリーなどと並んで、まさに今「トレンド」の犬なのだとか。ふわふわした毛並みがかわいらしく、物静かで品格があるイメージがうけているようで、さらにハリウッドでリメイクされた映画「忠犬ハチ公」が欧州でも上映されたことも人気を後押ししているようです。飼い主が亡くなるまで側にいる忠実な姿は、国を越えて人の心を打つものがあったのでしょう。
とはいえ、人間でもパートナーとの出会いの理想と現実が違うように、ペットとの出会いもまたさまざまです。ドイツ•ペット中央登記団体(TASSO)の統計によれば、2016年に飼い犬として新規登録された頭数のランキングにはやはりラブラドールレトリーバー(19.761頭)、ジャーマンシェパード(14.748頭)、チワワ(12.855頭)、フレンチブルドッグ(9.610頭)と人気の犬種が並びますが、それらを抜いてダントツの一位になるのはなんと雑種(106.204頭)! この傾向を喜ぶとともに、TASSOは流行を追って犬を選ぶことに警鐘を鳴らしています。
- 1位 雑種
- 2位 ラブラドール•レトリーバー
- 3位 ジャーマン•シェパード
- 4位 チワワ
- 5位 フレンチブルドッグ
- 6位 ジャック•ラッセル•テリア
- 7位 ゴールデン•レトリーバー
- 8位 オーストラリアン•シェパード
- 9位 ヨークシャー•テリア
- 10位 ボーダーコリー
ドイツで犬や猫を飼うには?
日本犬を始め、特定の犬種がほしい場合はその犬種を扱うブリーダーから直接購入することになりますが、その他、ティアハイムという動物の保護施設からペットを引き取ることもあります。上のランキングで雑種が一位になるのは、このティアハイムから犬を引き取る人が多い事情も背景にあります。ティアハイムは犬や猫の他、さまざまな事情で飼い主の元にいられなくなったあらゆる種類のペットが新たな飼い主が見つかるまで保護される施設であり、ドイツ各地にこの施設がありますが、ティアハイムについてはまた章をあらためて詳しくご紹介したいと思います。いずれにしてもドイツではこの2つの入手方法が一般的で、ドイツ動物保護連盟などは、ペットを飼いたいと思ったときにはまずティアハイムを訪ねることを奨めています。
ということでドイツでは、ハムスターなどの小動物やは虫類、魚類などのペット販売を行っている店はありますが、日本のようにペットショップで犬や猫を購入する、ということがほぼありません。それは動物保護の法律や条例により、ペットショップにおいても部屋の大きさなどの飼育条件や、販売時の最低年齢などが厳しく定められており、これらの条件下で犬や猫を商品として扱うのは経費や手間がかさむ、という理由で扱う店が減ったという事情があり、また一般的にもペットショップの劣悪な飼育環境について、動物がかわいそう、との批判は多いのです。
ドイツに殺処分はあるの?
動物の命もまた尊重されるべき、という考えから、ドイツでは動物の殺処分はごく一部のケース(事情による安楽死など)を除いてありません。ですので、日本では捨てられた犬や猫が殺処分されている、という話には皆ショックを受けるようです。猫カフェの話題など、日本は動物をとてもかわいがる国である一方で暗い面もあるというギャップが信じられない、と言います。ドイツでは殺処分がない代わりに、身元不明の動物たちはすべてティアハイムに引き取られ、そして新しい飼い主の元で新しい人生を送る動物たちがたくさんいるのです。