現地発「ドイツのペット事情レポート」
第二回 犬を飼うのに税金がかかる…!?

ドイツのペット事情 2 − 犬を飼う際の税金と躾(しつけ)のルール・法律

犬を飼うには税金がかかる!?

犬にはかかって猫にはかからないドイツの税金。

さて、いざペットを飼おうとすると、どれくらい経費がかかるのか、とドイツの動物/ペット各団体は次の試算を出しています。

例えば犬の場合は通常14〜15年の寿命としたとき、餌代や装着具の他、病気や怪我などの治療費に加えて、保険や予防注射、そして犬税などを含めて総額1万2千〜1万7千ユーロ(約160万〜220万円)としています。そう、ドイツでは犬を飼うと税金を払わなければならないのです。この犬税の金額は州ごとに違いますが、年間で約1万円から1万5千円くらい、格闘犬など攻撃性の高い犬の場合はさらに高額になるそうで、バイエルン州のある市では10万円を超すとか。税金は義務ですから、支払証明となるメダルをリードにつけていないと、公園などで抜き打ち検査に回っている検査官に見つかって罰金を科されます。

この犬税、なぜ猫など、他のペットには科されないのか、いや猫にも科すべきだ、など、批判や疑問の声もあるようですが、そもそもの始まりはさかのぼること19世紀初め。当時の戦争の賠償金に充てるために始まった税制なのだとか。その頃は犬を飼うことは富裕層の贅沢とされていたためだそうです。現在の犬税も、他の税金と同じく各自治体の経費に充てられ、特に犬のために使われるという目的のものではないそうですので、昔の考え方が引き継がれている制度ということでしょう。

ケルン市の犬税支払い証明メダル

ケルン市の犬税の支払証明メダル。直径3cm程の大きさで、登録番号が記載されています。これを外出時には首輪やリードに必ずつけなければなりません。

ドイツの犬の飼育のルール

ケージの広さや、留守番、散歩の回数など細部に渡るルール。

身元不明や伝染病(鳥の場合)を防ぐための飼い主登録制度は猫や鳥にもありますし、それぞれの飼い方のアドバイスは各団体などが提案していますが、犬税を始めとして犬はやはり特別なようです。その飼い方についても、ドイツでは細かな条件が法律や条例で定められています。まず生後8週間までは母犬と引き離さないこと、また家の中では繋がれる必要はありませんが、家の外で繋いで飼わなければならない場合はリードの長さは最低6メートル、犬小屋の設置も義務付けられます。またケージに入れる場合も6平方メートル以上の広さがなければなりません。毎日の最低2回の散歩はもちろん、成犬であっても家に長時間留守番させることは虐待とみなされます。そもそも犬は群れを形成する本能を持つ動物で、独りになることについて不安を持つとされています。犬の個性によっても違いますが、4〜5時間以上の放置はされるべきでないという意見が一般的のようです。(ちなみに鳥の場合も同じ理由で一匹だけで飼うことは推奨されておらず、オウムについてはつがいで飼うよう法律で定められています)一部のレストランや病院、薬局や食料品店などは別として、電車やカフェ、はたまた許される限りは職場にまで犬を連れていく人は一般的です。

子供と犬のしつけはドイツ人にさせろ!

まさに人間と同じようにあらゆる場に連れていかれるとなれば、犬の側にも人間社会のルールを守ることができるよう求められます。昔から「子供と犬のしつけはドイツ人にさせろ」と言われるように、ドイツでは犬のしつけは厳しく、ドイツ語でフンドシューレという犬の学校まであります。プロの手を借りて犬のしつけを徹底することは一般的で、小犬のうちに、または成犬になっても問題があったり、途中から引き取った犬を再びしつけるために、飼い主も一緒にこうした学校に通うのです。各地にある学校によって費用やプログラムはさまざまですが、通常は1コースが10〜12時間程で1時間5〜25ユーロ(約650〜3000円)が相場、だいたい1〜3か月通うのが一般的で、インストラクターが家まで来て個人レッスンをしてくれる場合もあります。こうして犬が飼い主の言うことに従うよう、しっかりとしつけられるのです。公園など決められた場所のみですが、リード無しで犬を連れて歩くことができるのは、こうしたしつけが徹底されているからともいえるでしょう。(注:リード無しで連れて歩ける範囲は、州ごとの規定によって違います)

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執筆者紹介

川元アキ
ドイツ在住十数年のドイツ語•英語の翻訳ライター。動物の保護施設「ティアハイム」を紹介する番組制作に関わるTVマンのドイツ人夫と暮らす。
若い頃は料理や読書が趣味、とインドア派だったのが、天気がよければサイクリングやハイキングへ、とアウトドア派になったのは、長年のドイツ生活ゆえ。ワインやチーズも好きだけど、やっぱり塩辛と吟醸酒が最高だね!というのが本音。ゆえにドイツの自宅で味噌や納豆も仕込む。持ち前の好奇心で、あらゆる文化や社会のトピックを探して発信中。

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